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『国宝』のオーディオブック|尾上菊之助の朗読で聴く芸道小説の金字塔

国宝 オーディオブック(Audible)書影

任侠の家に生まれた少年・喜久雄は、父の死をきっかけに上方歌舞伎の名門に引き取られ、女形として芸の道を歩み始めます。生涯の相棒であり宿命のライバルとなる御曹司・俊介とともに、芸に人生のすべてを呑み込まれていく50年の物語――。

吉田修一『国宝』は、映画化によって社会現象となった歌舞伎小説の傑作です。そしてオーディオブック版には、これ以上ない仕掛けがあります。朗読を務めるのは、歌舞伎俳優の尾上菊之助さん。本物の歌舞伎役者が、歌舞伎役者の一代記を語る。Audible評価★4.9という数字が、その完成度を物語っています。

国宝 オーディオブック(Audible)書影
『国宝』オーディオブック版書影(画像出典: Audible公式サイトより引用)

📖 この記事でわかること

  • 『国宝』のあらすじ(ネタバレなし)
  • オーディオブック版の基本情報(ナレーター・再生時間・評価)
  • 歌舞伎俳優・尾上菊之助の朗読という「事件」について
  • 上下巻・計43時間を聴き切るコツ
目次

『国宝』はどんな小説?

物語は1964年の長崎から始まります。任侠の組長の息子として生まれた喜久雄は、抗争で父を失い、大阪の歌舞伎の名門・花井家に預けられます。そこで出会うのが、家の跡取り息子・俊介。血筋を持たない天才と、血筋を背負った御曹司。ふたりの少年は、競い合い、支え合いながら女形の頂点を目指します。

芸のためにすべてを捨てる者、血筋の重さに潰されそうになる者、芸に人生を捧げた者たちの愛と業。半世紀にわたる物語は、歌舞伎という華やかな世界の裏にある凄絶な人間ドラマを描き切ります。

吉田修一が歌舞伎の世界を長期取材して書き上げた本作は、「芸道小説の金字塔」と呼ばれ、映画版の大ヒットで再び脚光を浴びました。原作でしか味わえない喜久雄の内面の深みは、映画を観た人にこそ届いてほしい部分です。

オーディオブック版の基本情報

著者吉田修一
ナレーター尾上菊之助
再生時間上巻21時間7分/下巻22時間2分
配信日2019年12月13日
評価★4.9/5.0(上下巻あわせて3,000件超)(記事執筆時点のAudibleカスタマーレビュー)
配信Audible聴き放題(プレミアムプラン)対象 ※記事執筆時点

ナレーターの尾上菊之助さんは、まさに本作の題材である歌舞伎の世界を生きる当代随一の女形。「本職が語る芸道小説」という、オーディオブック史上でも稀有な作品になっています。

聴きどころ

1. 本物の歌舞伎役者が「女形の一代記」を語る

劇中には歌舞伎の演目、稽古、楽屋の空気が濃密に描かれます。それを語るのが現役の歌舞伎俳優・尾上菊之助さんであることの説得力は、他のどんな名優にも代えられません。演目の台詞まわし、義太夫の節、序破急の間。「語り」そのものが芸になっている朗読です。

2. 独特の語り口が生む「講談」のような没入感

原作の文体は、読者に語りかけるような独特の講釈調で書かれています。この文体が菊之助さんの声と出会うと、まるで一流の語り物を聴いているような心地よさに。43時間という長さを感じさせない、「ずっと聴いていたい朗読」という評価はこの相乗効果によるものです。

3. 映画では描き切れなかった50年を完全収録

映画は約3時間に凝縮されていますが、原作は上下巻で半世紀を描く大河小説。映画でカットされたエピソードや人物の来歴、そして喜久雄の芸への執念の細部まで、すべてを味わえます。映画に心を掴まれた人の「その先」に応えてくれるのがこの朗読版です。

再生時間の目安|倍速でどれくらい?

再生速度所要時間1日1時間聴く場合
1.0倍速約43時間9分約44日
1.5倍速約28時間46分約29日
2.0倍速約21時間35分約22日

語りの「節」が魅力の朗読なので、等倍〜1.2倍速を強く推奨します。上下巻で計43時間、1日1時間でも1か月半の長旅ですが、この作品に関しては「長さこそご馳走」です。

こんな人におすすめ

  • 映画『国宝』を観て、原作の全貌を知りたくなった人
  • 歌舞伎・伝統芸能の世界に興味がある人
  • 大河小説・一代記ものにじっくり浸りたい人
  • 「語りの芸」としてのオーディオブックを極めたい人
  • Audible評価★4.9の実力を確かめたい人

どのサービスで聴ける?

記事執筆時点では、Audibleで上下巻とも配信されており、聴き放題(プレミアムプラン)の対象です。配信状況は変わることがあるため、アプリ内で「国宝 吉田修一」と検索して確認してください。

よくある質問

Q. 歌舞伎の知識がなくても楽しめますか?
A. 楽しめます。歌舞伎の世界のしきたりや演目は物語の中で自然に理解できる構成です。むしろ本作をきっかけに歌舞伎を観たくなる人が続出しています。

Q. 上下巻どちらから聴けばいい?
A. 必ず上巻(青春篇)から。喜久雄と俊介の出会いから始まる物語は、順番に聴いてこそ下巻(花道篇)の重みが効いてきます。

Q. 映画を観ていなくても大丈夫?
A. まったく問題ありません。原作が先、映画があとの順番でも、それぞれ別の感動があります。

Q. 43時間は長すぎませんか?
A. たしかに大作ですが、「気づいたら聴き終わっていた」というレビューが多いのも事実。聴き放題対象なら、焦らず1か月かけて付き合う価値のある作品です。

まとめ

芸に呑まれた人間は、幸せなのか。喜久雄の50年を耳で見届けたあと、この問いはしばらくあなたの中に残り続けます。

本物の女形が語る、女形の一代記。オーディオブックというメディアの可能性を証明した1作を、ぜひ体験してください。

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