シリーズ2作目にして「1作目超え」の呼び声も高い一冊です。今村昌弘さんの『魔眼の匣の殺人』は、『屍人荘の殺人』の事件から数か月後を描く、剣崎比留子シリーズの第2弾。本格ミステリ大賞の候補にもなった実力派の続編です。
オーディオブック版は前作と同じく浅井晴美さんの朗読で11時間48分。「未来を予言する老女」という不穏な題材が、耳元で語られる恐ろしさは文字以上です。
- 『魔眼の匣の殺人』のあらすじと魅力(ネタバレなし)
- オーディオブック版の基本情報
- 前作との違い・聴く順番
『魔眼の匣の殺人』はどんな本?
葉村譲と剣崎比留子は、前作の事件の裏にいた組織「斑目機関」を追って、山奥の集落・好見を訪れます。そこにあるのは「魔眼の匣」と呼ばれる施設。そこに住む老女は、「あと二日のうちに、この地で男女が二人ずつ、四人死ぬ」と予言します。
橋が焼け落ち、外界から隔絶された9人。予言は迷信だと笑い飛ばしたいのに、ひとり、またひとりと予言どおりに人が死んでいく——。本作の核心は「予言」というオカルトを、フェアな本格推理のルールに組み込んでみせた点にあります。
予言を信じる者と信じない者の心理戦、そして「予言が当たるなら、犯人は誰でもいいのではないか」という倒錯した恐怖。前作の「勢い」とはまた違う、じわじわ締め付けるタイプの傑作です。
オーディオブック版の基本情報
| 著者 | 今村昌弘 |
| ナレーター | 浅井晴美 |
| 再生時間 | 11時間48分 |
| 配信 | Audible(オーディブル) |
聴きどころ
1. 予言の不気味さは「声」で倍増する
老女の予言の場面は、このシリーズ屈指の名場面です。文字で読むと一瞬で通り過ぎてしまう台詞が、朗読では空気ごと変わる。オーディオブックで聴く価値が最も高い場面だと思います。
2. 容疑者9人の「声の書き分け」
登場人物が多く、心理戦が濃い本作では、浅井晴美さんの語り分けが効いています。誰が何を恐れ、誰が嘘をついているのか。声のトーンがヒントにも、ミスリードにもなります。
3. ロジックの積み上げが耳に心地いい
比留子の推理は、突飛な閃きではなく消去法の積み上げです。「この条件だとあの人は犯人になれない」という論理が一段ずつ進む様子は、聴いていて頭が整理される快感があります。
再生時間の目安|倍速でどれくらい?
標準で11時間48分。1.5倍速なら約7時間52分、2倍速なら約5時間54分です。前作より少し長めですが、章ごとの区切りが明確なので、通勤のスキマ聴きでも迷子になりにくい構成です。
こんな人におすすめ
- 『屍人荘の殺人』を聴き終えて続きが気になっている人
- 「オカルト×本格ロジック」という組み合わせに惹かれる人
- 閉鎖空間の心理戦をじっくり味わいたい人
どのサービスで聴ける?
記事執筆時点では、Audibleで配信されています。聴き放題対象かどうかを含む最新の配信状況は、アプリ内で「魔眼の匣の殺人」と検索して確認してください。
よくある質問
Q. 前作を聴いていなくても楽しめますか?
A. 単体でも筋は追えますが、組織「斑目機関」や二人の関係性は前作の続きです。『屍人荘の殺人』から聴くことを強くおすすめします。
Q. ホラー度は前作より高い?
A. ゾンビ的な派手さはなく、代わりに「予言」の心理的な怖さがあります。深夜より通勤時間向きかもしれません。
Q. 次に聴くなら?
A. シリーズ3作目『兇人邸の殺人』へ。当サイトにレビューがあります。
まとめ
『魔眼の匣の殺人』は、「予言は当たるのか」という一点の緊張を11時間48分持続させる、構成力の化け物のような作品です。予言の場面だけでも、ぜひ耳で体験してみてください。

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