シリーズ最長・最凶の第3弾です。今村昌弘さんの『兇人邸の殺人』は、剣崎比留子シリーズの3作目。「このミステリーがすごい!」で1位を獲得し、シリーズの人気を不動のものにした一冊です。
オーディオブック版はシリーズ通しての浅井晴美さんの朗読で12時間54分。廃遊園地の奥に建つ「兇人邸」を舞台に、これまでで最も過酷な一夜が始まります。
- 『兇人邸の殺人』のあらすじと魅力(ネタバレなし)
- オーディオブック版の基本情報
- シリーズの聴く順番
『兇人邸の殺人』はどんな本?
葉村と比留子は、斑目機関の研究資料を手に入れるため、廃遊園地に建つ屋敷「兇人邸」への潜入に協力します。しかし屋敷の中で一行を待っていたのは、首を刈る「怪物」。逃げ場のない屋敷の中、夜明けまで生き延びながら、なぜか怪物とは別に発生する「不可解な殺人」の謎を解かなければなりません。
本作の構図は明快です。「怪物から逃げるサバイバル」と「首のない死体の本格推理」が同時進行する。普通なら破綻しそうな組み合わせを、作者は驚くほど端正なフーダニットにまとめ上げます。
シリーズお馴染みの「特殊設定×ロジック」の方程式が、最も大きなスケールで炸裂する一冊。ページ数(と再生時間)はシリーズ最長ですが、体感は最短かもしれません。
オーディオブック版の基本情報
| 著者 | 今村昌弘 |
| ナレーター | 浅井晴美 |
| 再生時間 | 12時間54分 |
| 配信 | Audible(オーディブル) |
聴きどころ
1. 「音を立てたら終わり」の緊張感
怪物に見つからないよう息を潜める場面の連続は、耳で聴くと没入感が桁違いです。自分まで息を止めてしまう感覚は、オーディオブックならではだと思います。
2. 絶望的な状況でも推理は端正
パニックホラーのような状況でも、手がかりの提示はあくまでフェア。「怪物がいる」という前提条件すら推理の材料に変わっていく様子は、シリーズの真骨頂です。
3. 比留子と葉村の関係の変化
3作を通して聴いてきたリスナーには、二人の関係性の変化が本作の隠れた主題であることが分かります。同じナレーターの声で積み重ねてきたからこそ、効いてくる場面があります。
再生時間の目安|倍速でどれくらい?
標準で12時間54分。1.5倍速なら約8時間36分、2倍速なら約6時間27分です。長丁場なので、章の区切りごとにブックマークを打ちながら聴くのがおすすめです。
こんな人におすすめ
- 『屍人荘』『魔眼の匣』を聴き終えたシリーズリスナー
- ホラーとミステリーの「いいとこ取り」をしたい人
- 長編を一気聴きする没入体験が好きな人
どのサービスで聴ける?
記事執筆時点では、Audibleで配信されています。聴き放題対象かどうかを含む最新の配信状況は、アプリ内で「兇人邸の殺人」と検索して確認してください。
よくある質問
Q. シリーズを飛ばしてここから聴いても大丈夫?
A. おすすめしません。組織を巡る縦筋と人間関係が積み上がっているため、『屍人荘の殺人』からどうぞ。
Q. グロテスクな描写は強い?
A. シリーズで最も苛烈です。食事中の「ながら聴き」には向かない場面がある、とだけお伝えしておきます。
Q. 次に聴くなら?
A. 特殊設定ミステリーなら『方舟』、王道クローズドサークルなら『そして誰もいなくなった』へ。どちらも当サイトにレビューがあります。
まとめ
『兇人邸の殺人』は、「本格ミステリーはここまでやれる」というシリーズの到達点です。12時間54分の長さに怯む価値はありません。怪物の足音と、静かに積み上がるロジック。その両方を、ぜひ耳で浴びてください。

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