一枚の絵をめぐって、30年の時間が交差します。青山美智子さんの『赤と青とエスキース』は、2022年本屋大賞2位に選ばれた連作短編集。メルボルンで描かれた一枚の「エスキース(下絵)」が、額装職人、漫画家、そして年月を経た恋人たちの人生を静かにつないでいきます。
オーディオブック版は井上悟さんと疋田涼子さんによる男女W朗読で6時間48分。章ごとに視点が変わる構成と、二人のナレーションの相性が抜群です。
- 『赤と青とエスキース』のあらすじと魅力(ネタバレなし)
- オーディオブック版の基本情報(W朗読)
- 「仕掛け」があるからこそ耳で聴きたい理由
『赤と青とエスキース』はどんな本?
物語はオーストラリア・メルボルンから始まります。留学中の大学生・レイは、日本人の青年ブーとの「期限付きの恋」の記念に、画家の卵ジャック・ジャクソンのモデルとなり、一枚のエスキースが生まれます。
その後の各章では、そのエスキースに関わることになる人々——絵に人生を懸ける額装職人、連載終了の危機に揺れる漫画家とアシスタント——の物語が描かれます。一枚の絵が人から人へ渡っていく中で、それぞれの「勝負」や「約束」が丁寧にすくい上げられていきます。
そして最終章。すべての章が実はひとつの大きな絵の中に収まっていたことが分かる仕掛けには、思わず最初から聴き直したくなるはずです。
オーディオブック版の基本情報
| 著者 | 青山美智子 |
| ナレーター | 井上悟/疋田涼子 |
| 再生時間 | 6時間48分 |
| 配信 | Audible(オーディブル) |
聴きどころ
1. 男女W朗読が章の切り替えを教えてくれる
視点人物が章ごとに変わる本作では、語り手の声が替わることが、そのまま「場面転換の合図」になります。文字で読むより構造が掴みやすいのは、W朗読ならではの恩恵です。
2. メルボルンの空気感
冒頭のメルボルン章は、日差しとカフェの喧騒が聞こえてくるような会話劇です。日常から一番遠い場所に、耳から連れて行ってくれます。
3. 「仕掛け」が分かった瞬間の聴き直し
最終盤で本作の構造に気づいたとき、各章の何気ない台詞の意味が変わります。2周目を1.5倍速でざっと聴き直す、という楽しみ方まで含めて完成する作品です。
再生時間の目安|倍速でどれくらい?
標準で6時間48分。1.5倍速なら約4時間32分、2倍速なら約3時間24分です。1章あたり約1時間20分前後なので、「今日は1章だけ」という聴き方にも向いています。
こんな人におすすめ
- 『リカバリー・カバヒコ』『お探し物は図書室まで』で青山美智子作品が好きになった人
- 仕事(創作・ものづくり)への向き合い方に悩んでいる人
- ラストの「仕掛け」がある物語が好きな人
どのサービスで聴ける?
記事執筆時点では、Audibleで配信されています。聴き放題対象かどうかを含む最新の配信状況は、アプリ内で「赤と青とエスキース」と検索して確認してください。
よくある質問
Q. 恋愛小説ですか?
A. 恋愛は入口ですが、本体は「人生の勝負どころ」を描く仕事小説の側面が強いです。
Q. 青山作品のなかでどんな位置づけ?
A. ほんのり優しいだけでなく、構造の妙で唸らせる一冊です。仕掛け好きにはこれが一番刺さると思います。
Q. 次に聴くなら?
A. 同著者の『リカバリー・カバヒコ』、時間が交差する物語なら『汝、星のごとく』へ。どちらも当サイトにレビューがあります。
まとめ
『赤と青とエスキース』は、一枚の絵の「余白」に人生が描き込まれていく物語です。6時間48分のW朗読は、絵画のオーディオガイドのような贅沢な体験。最終章まで聴いた人だけが見える景色があります。

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